ここ惚れ ワンワン! my treasure その3 ”へそピカ将軍”の巻

それまではタヌキのシャングリラとして知られていた信楽の山奥に、
突如 MIHO MUSEUM が出現したのはポンポコ9年、もとい平成9年のこと。。
そのあまりの珍宝満載ぶりに日本のみならず世界中の古代美術ファンが腰を抜かしました(◎-◎;)。
私も初めて行った時は完全に化かされてるのかと思っちゃいましたよ!!

紹介したい文化財は山ほどあるのですが、、
まずはこれなぞ。。
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               ① 金製帯鉤、L.9.5cm、漢時代、MIHO MUSEUM蔵

実はこれにそっくりな作品がお隣の韓国にもあるんです。。
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      ② 金製鉸具(平壌石巌里第9号墳出土)、L.9.4cm、B.C.1c、韓国国立中央博物館蔵

これだけじゃないぜ!もう一丁!
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    ③ 金製帯金具(焉耆回族自治県ジングダ墓地出土)、L.9.6cm、1-2c、新疆ウイグル自治区博物館

まだまだ行きますよっ!!さらーにもう一丁!!
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あ、、いや、すいません ...もう一つ本当にあるんですが、画像持ってないんですよぅ( ̄ω ̄;) ...


私がもともと知ってたのは②。。
これはピョンヤンの楽浪漢墓から1916年に出土し、現在韓国の国宝89号にも指定されている
古くから大変有名な品。。

それがMIHOの展覧会行ったら同じものが展示されてるじゃないですか~!?
えっ、もしかして韓国から盗っ...いや、まさかね?借りてきたのかな??
図録見たら謎が判明。
楽浪郡、新疆ウイグル自治区、雲南省から出土したものと出土地不詳のMIHOのものと
世界に4つよく似たものが知られてるんだそうです。。
なるほどな~残り二つも見たいな~と思っていたら、2002年のシルクロード展で③に遭遇!
 (それぞれの色調の違いは多分撮影・印刷の加減です)

それにしても、見事な粒金細工だと思いませんか?

粒金細工と言えばエトルリアなんかが有名ですが、それら西の方で作られたものは
規則正しく理知的な印象を与えるある意味単純なデザインのモノがほとんど。。

それに対してこれは大龍と多くの小龍が自在に絡み合って古代中国特有の生命感を持った曲線を
形作るという複雑極まりない意匠。。それが金線と粒金で完璧に表現されています。
ところどころに置かれた涙形のトルコ石も色彩的なアクセントとして効いてますよねー。。
 (デコ電作ってるギャル職人の皆さん!!上には上がありますよ~精進精進!!)

しかしこうして並べてみると素人目にも①と②は全く同じ時期に同じ工房で作られたモノにしか
見えませんが、
③は①、②の大きな見所である微妙に大きさをグラデーションさせた粒を並べて表現された龍の背
が無いなど、ちょっと作行きが劣るような気がします。。
 (写真だけで判断すべきではないんですけどね。。)
上の写真の下に付けたキャプションはそれぞれの図録の解説を写しただけなので
その時代判定がどの程度信用できるのか分りませんが、③は①、②よりかなり時代が降るのかも
知れません。

それにしてもこんな立派なバックル、一体誰が付けてたんでしょうか??
 (もっとも金製で華奢な出来なので実用品ではなく、生前は大事にしまっておいて、
  亡くなった時に一緒に副葬されたものと思われます。)

興味深いのはその出土地。。
出土地不詳のMIHOのものを除けば、楽浪郡、新疆、雲南省といずれも漢帝国の版図ギリギリに
位置する辺境の地。
そうした地によく似たこれだけの高級品があるということは、中央の工房で作られたものが
何らかの特別な意図を持ってそれぞれの地に贈られたと考えるのが妥当でしょう。
有名な金印のように、漢の皇帝から地位や勲功の証しとしてそれぞれの地に下賜されたもの
なのでしょうが、私の貧弱な中国史の知識ではマトモな仮説を出すのはもとより不可能。。

普通に考えればそれぞれの郡の太守あたりに贈られた可能性が大なのかな~
でも私は、辺境の地とバックル、というのがなんとなく武官的な感じがするので、、
 (漢時代だと文官はベルトじゃなく帯を締めてたような気がすんのよね~、根拠ないけど...)
それぞれの地を平定するのに勲功があった将軍のような人物に贈られたものと妄想しています。。

司馬さんや宮城谷さんならこれだけで長編小説くらい書けそうですが、
その手の想像力を決定的に欠いている私でも
じぃーっと黙ってガラスケースを覗き込んでると、
 背中を丸めて細工に打ち込む職人の様子や、
 それを皇帝の命を受けてしずしずと何千キロも運んできた使者たち、
 柩の中でこの世への最後の名残とばかりにピカピカ輝く将軍のヘソの辺りなどが彷彿として、
本の中でしか知らない李陵や霍去病、王昭君や張騫といったヒーローヒロインたちも
現実の体を持って生きた人達なんだなぁという実感がチョロチョロと湧いてくるんですよ~。。

それにしても、我が国では村の寄り合いで銅鐸カンカン叩いて喜んでた時代に、

朝鮮半島から雲南省まで満天下を実際に統治していた漢王朝、すご過ぎです!!

現在この作品は展示されていませんが、
それに勝るとも劣らない「中国王朝の至宝」を山ほど展示している展覧会が
東京国立博物館で開催中です。。
12月24日まで、神戸・名古屋・福岡にも巡回しますよ!)
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by brevgarydavis | 2012-11-15 21:01