美文字検定何級?! 「書聖 王羲之展」

東博の「書聖 王羲之展」と都美の「エル・グレコ展」に行ってまいりました。

結構客層が違いますな...「エル・グレコ展」の方が若くてオサレな人多し。。ま、そりゃそうかもね。

しかし恐れ多くも展覧会の中でマニアックな方々が一番大量にいらっしゃるのが書の展覧会。
 (次が浄土宗・日蓮宗系の展覧会かな。なんとか学会とか熱心な信者の方がたくさんお参りにいらっしゃいます)。
石を投げれば子どもの頃から何十年も勉強してる人に当たるなんてのは書の展覧会だけです。。

というわけで、絵の展覧会と違ってちゃんと漢文読んだり字形を観察したりしてるおばさま方に行く手を阻まれながら入木の森を押しのけかきわけしてきましたよ。
  (エル・グレコ展は昔の図録見つかったらなんか書きます)。


わたくし、字は野田元首相や福島党首なみに下手なんですが
 ⇒ 〈 野田首相の字 〉
書の展覧会を見るのは大好きなんです (この目習いが生きる日は永遠に来なさそうな...)。

年に2,3回は訳も分らないのに書の展覧会行くんですが、今回の「書聖 王羲之展」、個人的な満足度では過去最高かも (興味ない人にはつまんないことも請け合いますけど...白黒の漢字だけじゃさすがに地味過ぎて興味ないとどうしようもないんよね)。
王羲之展ということでホントは中国・台湾からも作品借りて来られればもっと充実した展覧会になるんでしょうけど(八柱本の一つ位来るかと予想してたのに..ま、北京でも最近蘭亭展やってたしな..それともやはり尖閣のせい?)、それ無しでも十二分に見ごたえのある展示。おなかいっぱいになりました。

全163件の出品作の内、王書は六十件余、羲之以前の書が二十数件、以後の書家の作が六十件余。他、絵画や硯などで構成されています。
よって王羲之を軸とした日本所蔵中国書法名品展といった趣きもあり。。
東博、書道博物館、宇野雪村コレクション、三井記念美術館で出品作の7割ほどを占めていて、書が好きな人ならほとんどが知ってる作品かもしれません。。でもこれだけまとめて見るとあらためて日本にある中国書のコレクションもたいしたもんだな~と思いますね。中国画や西洋画よりよほど充実してます。
絵の場合は中国から20世紀に流出した作品のうち、かなりの部分がアメリカに渡っちゃいましたが、書はほとんどが日本に請来されたのが大きいかと。。メリケンは漢字読めんからな~( ̄ー ̄)フフフ!!。

そんな中、目に付いた作品を挙げてみると、、
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            蘭亭図巻(萬暦本)、33×548cm、萬暦20(1592)年編、東博蔵
じーっと字だけ連続で見続けてると、たまには甘味といいましょうか、やっぱり絵も見たくなるもんでこういうのが出てくるとホッとしますね。。「蘭亭序」は昔漢文の時間に「エーワクネントシハキチューニアリ・・・」ってのを暗記させられたんで今でもなんとなく親しみがあります。

この蘭亭図巻、狩野山雪や永納の蘭亭曲水図屏風のもとになった図(直接かどうかは不明)として以前から見たかったんですが初めて実見できました。
b0283699_10303257.jpg期待以上に精彩に富んだ面白い作品ですね。流水や人物の淡墨が実にいい感じ。。
若冲の「乗興舟」などと同じ拓版擦りと見ていいのかな?当然図録に説明があるだろうと思ってちゃんと確認してこなかった...もう一回見にいかなきゃ...(´へ`;ウーム。。

 狩野永納筆 「蘭亭曲水図屏風」(右隻)、153×359cm、静岡県立美術館蔵

これに限らず今回の展示は巻子や帖冊を長々と全部広げて見せてくれてるのが sooo wonderfull !!
でもなんで蘭亭描いた絵の出品が大雅や蕪村(前後期で展示替)で山雪や永納じゃないんだろ?蘭亭図巻からの影響が明らかな山雪や永納の作品の方が図巻と一緒に展示すれば興味深いと思うけどな~。。それと今気付いたんですが、なぜか静岡県立美術館、狩野永納・久隅守景・池大雅と蘭亭曲水図屏風の傑作を三双も持ってるし )゚0゚( why!!

もう一つ挙げるとすると、、
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              米芾筆 「行書虹県詩巻」(部分)、31×487cm、c.1103-06、東博蔵

何度となく見ている作品ですが、なんだか昨日はこの米芾の詩巻が特別心に響きました。。

蓋しさんざん六朝から唐の作品を見た後にいきなり宋の名筆に出会うってのは、舞踏会に来てる端正な美男美女にいいかげん飽きてきた王子様が素のままの飾らないシンデレラを見つけて一目ぼれするようなもんでしょうか。勿論実際には素のままに見えることを狙ってさらに高度な計算が働いてるわけでしょうが。。今回の展示では顔真卿や楊凝式あたりが抜けてるってこともあるね。

米元章という人は「平淡天真」を標榜しときながら、才気があり過ぎてなんだか脂ぎった技を披露しちゃう場合が多いと思うんですが、これはまさになんの飾りも衒いもない彼の心情がそのままザザッと滴って紙の上に定着したような神がかり的出来。。不定形な心の中から線形に紡ぎだされた言葉が紙の上に広がって再び不定形な感慨として交響し始める、そんな感じかなー。。こんなスゴイ作品だというのを今まで気づかなかった自分って...とちょっとへこんだ位の傑作ですわ~(◎-◎;)!!。

でもこういうのに感動するのって書道史的に洗脳されてるからじゃないかという気もちょっとするんよね~。線とか色の美しさを判断する基準はある程度生得的にあるとしても、それ以上の複雑な判断は王羲之はすごい、米芾はすごいって教え込まれた結果そういうのが良いと思わされてるだけじゃないかと...ま、ワインも味の違いは分かっても高い方が美味しいのか皆目確信が持てない私の言うことですからね...ごちゃごちゃ言わずに愉しむに如かずってことなんでしょう。。


ほかにも新聞等で話題の「大報帖」も展示されてる「書聖 王羲之展」は3月3日までです。
(一部の作品は2月11日で展示替あり、孔侍中帖は2月19日から)
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by brevgarydavis | 2013-01-26 00:16