美術史の小窓 その5 ―何事のおはしますかは知らねどもカタジケナさに涙こぼるる...―

「病草紙」、と呼ばれる絵巻があります。
 といっても現在は全て断簡になってしまい絵巻の体はなしていませんが、12世紀末頃の原本が
 京都や九州の国立博物館をはじめとして20図(あるいは21図)、各地に所蔵されています。。
 様々な奇病や障碍、治療法などを描いたもので、ご存知の方も多いかも知れません。

一方今回取り上げるのは「異本病草紙」という絵巻。
 こちらは原本はおそらく既に失われて幾つかの模本で知られるのみ、「病草紙」よりも更に
 不可解な図が多く、本来「病草紙」と一連のものだったのかどうかもよく分りません。。
 ただ描かれた風俗などから原本はやはり藤末鎌初頃の作だったと推定されています。

その中で以前から一番気になっているのが下の図。
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 b0283699_21381761.jpg(注)
「異本病草紙」は模本による
 異同が多く、この図が
 含まれているのは現在
 京都国立博物館に所蔵される
 狩野探幽による模本のみ
 だろうと思います。









平安京の一隅、大通りに面した建物の中で、台に座った一人の女性が
裾をたくし上げてM字開脚。。
まわりには「ありがたや~」とばかりに手を合わせる人や、
施しを貰おうとする乞食の家族などがいてちょっとした賑わいですな...
...ってなんじゃこりゃー?? 
お××こ丸見えやないですか~ノ( ̄0 ̄;)。。

これはもしや浅草ロック坐的な...いやいやそうじゃないですよね。
だって拝んでる人もいるし女性の見物人もいる、、それに右の方には3人のお坊さんの姿も。。
 とくにイカガワシイことをしてるような雰囲気はありません。。
恐らくは、この女性に何か仏教的な奇跡が起こっていて、
 それを聞きつけた人々が集まってるんじゃないでしょうか。。

一体何が起こってるんでしょう??皆さんいい考えありますか?

アソコが観音様の形になってるとか..うーん、そうは見えぬの~観音開きではあるけど..

今んところ私の考えとしては、、女性の尿がクサイんじゃないかと思うんです...
 根拠は女性の前に桶のようなものが置かれてるから、ってだけなんですが...
  おしっこがすごく好い匂いがするとか...ん??それってただの糖尿?病草紙だし...
   見ればこの子、ちょいと太り気味のような...

b0283699_0132479.jpg 
 時代は百年ほど下りますが、尿信仰
 という意味では「天狗草紙」や
 「魔仏一如絵」という絵巻にも一遍の
 尿を信者がありがたがって飲む場面
 があります。。
  (旧仏教の側から時宗はこんないかがわしい
    事をしてるゾ~って ことで描かれた絵ですが、
    一遍が尿療法を薦めたことは事実のようです)






「魔仏一如絵」、27×900cm、室町時代、日本大学総合学術情報センター蔵

ん~でも分らん。。結局のところ詞書がないと真相は不明ですね。
絵を見る限りでは、フィクションではなく実際に平安京で起こった事件(あるいは噂?)に
取材したように思われるので、当時の古記録や説話集もずいぶん捜してみたんですが
関係ありそうな記事は見つけられませんでした。。

でもこの絵を見ると以前、にしおかすみこの八つ墓村(ちょい懐かしいギャグね)を見た
徳光さんが股間に手を合わせてた場面を思い出すんよね~
       まぁ男としては気持ちは分るけどさ(・・。)ゞ テヘ。。。
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# by brevgarydavis | 2012-12-09 23:34

松本竣介展

道ばたに転がってるドングリを発見して、おっ、秋だな~と軽く蹴っ飛ばしたら
...ワンコのう×ちでした(爆)。。
ひゃー!これでウンが付いたゾ❤...などと能天気に思えるはずもなく...
近年最悪の始まり方をした一日に世田谷美術館で開催されている松本竣介展に行って参りました。

半年以上まえから各地を巡回しているので既に行かれた方も多いでしょう。
 私も葉山で行こうと思っていたのが、仙台で見ればいいか...となり、
  仙台の時期には世田谷に来るからいいか...となり、
ようやく重い腰を上げた有様ですが、、

あぁー葉山も仙台も行くべきだった、と自分の腰の重さを後悔した
素晴らしい展覧会です。

竣介は明治45年の生まれ。
同じ年に生まれた有名人と言えば、双葉山や金日成、J.ポロック、佐藤忠良など。。
 その中でも一番早く亡くなったのですからずいぶん昔の人のはずですが、
忠良さんと一緒と言われると、あ、最近まで元気でいてもおかしくない人だったんだなと思います。
 生活を支え、多くの絵のモデルにもなった禎子夫人も亡くなったのは昨年のことです(享年99)。

b0283699_13563992.jpg竣介の生き方に大きな影を落としたと言われる
中途失聴と戦争。。
しかしそれらを絵の中にどう読み込むかは、
鑑賞者次第という気がします。

戦時中に生きた障害を持った人たちの
手記や述懐を読むと
日常的に非国民、穀潰し、役立たずと面罵され、
男性なら徴兵検査で受けた屈辱や
自分の無力さに対する忸怩たる思いを
今も忘れられないと語る言葉が
胸に刺さります。

竣介はそうした内面の苦悩については多くを
語っていませんが、
友人たちも次々と戦地に送られる中、
彼はどんな気持ちで絵を描き続けたのか。

「街にて」、116×91cm、1940年9月、下関市立美術館蔵

失聴のきっかけとなった脳脊髄膜炎の治療の時、最初はあまりの痛さに泣き叫んだ竣介ですが、
 「シュンのあの痛そうな声を聞くとかわいそうで」と
母が泣いていたという話を兄に聞いてからは決して声を上げることはなかったそうです。

そんな性格の彼の心中を誰が残された言葉だけから忖度できるでしょうか。。

聴覚の問題から平衡感覚が悪くいつも軽く左右に揺れながら歩いていたという竣介。
彼の中を通った風景がこんなにも透き通った青や白でキャンバスに定着した奇跡。
無心で絵と同じ空間で過ごしているだけで涙ぐんじゃって困りました。。(明らかに歳だな...)
久しぶりに心から満足できた展覧会。。

やっぱりウンコワンコのおかげかな?


大雪でも降ったら勤め先休んででもまた行きたい展覧会。。
雪で閑散とした砧公園の展示室で静かに彼の絵に再会できたらこんなに幸せなことはなさそうです。。

松本竣介展は世田谷美術館で1月14日まで、図録も上出来ですよ。 。
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# by brevgarydavis | 2012-12-06 13:59

土地は金なり 最近、時kは金にならず...

2,3年前、話題になった某時計屋さんの経営不振。。
白金のお屋敷も売却されてマンションにでもなるのでは、、という噂が流れました。

神戸出身の知人が、
東京には芦屋の○○町や西宮の××園クラスの高級住宅街はあらへんやろ?
って主張(ちょっと自慢?)してましたが、
確かに田園調布や成城なども関西の高級住宅街に比べると大分スケールが小さい気がします。。

しかし東京に大金持ちがいなかったのか?といえば勿論さにあらず。
桁違いのお大尽が圧倒的に多かったのは言うまでもなく東京。。
財閥や華族、と言った言葉を思い起こせば明らかですよね。
でもそうしたとびっきりセレブな人たちの住む豪邸は、まとまった住宅街をつくることなく
都内に点在してました(大きすぎるもんね)。。

遡って考えれば、江戸の山の手の大名屋敷は今となっては考えられない超々高級住宅街。
東京の豪邸はその土地を受け継いだものが多く、
20世紀の初め頃から開発が始まった芦屋や西宮とは広さ、歴史とも格が違います(ちょっと自慢)。

戦後それらのお屋敷の多くは税金を払うために売却されて、
公園やホテル、大学などの敷地になったり、分割されてマンションが建ったりして無くなってしまい、
ごく一部が美術館などに転用されてなんとか現在まで生き長らえる運命に。。
まぁ、武家屋敷が幾つかの庭園が残った以外アトカタもないのに比べればまだましなのかも
知れませんが、モッタイナイ話ではあります...

そんな中で現役最後の大物と言えるのが件の時計屋さんのお宅。

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ざっと6~7千坪位はあるでしょうか。
建物は1933年築、高橋貞太郎の設計
(前田公爵邸や日本橋高島屋設計した人ね)。
これぞリアル「華麗なる一族」。。
一度でいいからお呼ばれしてみたい...

こういう家があるからこそめぐりめぐって白金の
地価が高いわけで、でも町の人が維持費を出してくれるわけでもなく...お金が尽きれば偏に風の前の塵となってしまう不条理。。

既に日本の伝統のようなもんですが、、
なんとかなんないもんでしょうかね~
(今すぐこの旧H邸がなくなるような予定がある訳ではありません、念のため)


あまり一般の人に知られていない物件は、解体反対!なんて運動も盛り上がらない訳で、、
華麗なる一族の方々には迷惑千万でしょうが、将来のため微力ながらもこのブログ読んだ皆さんに、
こんな家もあるんだよ~ (*゚o゚)/!! ってのを覚えててもらえたらと思った次第...。
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# by brevgarydavis | 2012-12-01 17:15

そうだ、リキテンスタイン?見に行こう!!

みなさん、六本木のリヒテンシュタイン展、もう見に行かれましたか?
平日だとそんなに混んでなくてまだ快適に見られるようですよ。。
東京ではイブイブ、じゃなかった天皇誕生日まで開催してますし (なんで翌日の振替休日かクリスマスあたりまで開催しないんだろ?)、
高知や京都にも巡回するのでそちらの感想はまた近いうちに書くとして、、

今回はリヒテンシュタインツナガリということでアメリカ人の方のリキテンスタイン。。
ウォーホルと並ぶポップアートの旗手として一世を風靡した人です。
東京都が「ヘアリボンの少女」を買った時には、マンガに6億円!?って文句が殺到しましたが..(悲)

東京でいうと他にも原美術館で時々展示されてますし、新宿アイランドの青梅街道沿いには
「Tokyo BrushstrokeⅠ,Ⅱ」っていう作品が屋外に設置されてるのを御存じの方も多いでしょう。。
でも今回紹介するのは知らないんじゃないかな~~(知ってたら教えて欲しいのだ)

チャーン!!
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池袋駅西口ルミネ前にある色模様付きの切れ。。これってリキテンスタインですよね?違うかな??
いや、確かにここができた頃なんかでリキだって読んだ記憶があるぞ~、うん。。
bu~t 、ネット見てもパブリックアートの本見ても全く出てこなーい!なんで...?
 (もちろんキャプション的なものも一切なし)

私の記憶違いなんでしょうか?でも模様も色使いもリキっぽいよねー
 もしかしてすっかり忘れられてんのかいな??
  前はピンクチラシまで貼られてたよー

時々ここを通るんですけど

  工事のオジサンたちがこの棒を引っこ抜いてて、
    「あれっ?オジサン、この棒いらないの?もらってっていい?w( ▼o▼ )w オオォォ!!」
    「あん?いいよ!そーんな棒なにすんだ~?」
    「いやぁー洗濯物でも干そうと思って(;^_^A アセアセ・・・」
    「それじゃー太いんじゃねーかー?」
    「いや~丈夫なのが欲しいんだよね~(;^_^A ・・・」
  その後、クリスティーズNYに出品!!$$$$ヽ(^◇^*)/$$$$

...ってのを妄想してしまいます...

そんな訳ないか...(ここに書いちゃダメだな...そもそも)



リキテンスタイン財団のホームページ、非常に充実してます。。
http://www.lichtensteinfoundation.org/
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# by brevgarydavis | 2012-11-29 14:55

(仮)三彩羅漢の謎

ちょっと前にセゾン現代美術館の回で触れたセトモンの羅漢さん。
こりゃあ陶俑としては実に兵馬俑以来の傑作と言ってもいいんじゃないでしょうか~。
立ち上がれば2m近くにはなる大作で
ガチでシリアスな表情は羅漢像としてはむしろ異色。

海外では大美術館に常設で展示されているものが多くポピュラーな作品群ですが、
これだけ中国陶磁マニアも仏像マニアも多い日本なのに
なぜかあんまり知られていないんですよね。。

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b0283699_22582081.jpg左から
①大英博物館
②ギメ美術館








③ネルソン=アトキンス美術館
④ペンシルバニア大学考古学人類学博物館






⑤、⑥2体とも
メトロポリタン美術館









⑦ロイヤル・オンタリオ博物館
⑧ボストン美術館









⑨セゾン現代美術館
⑩ベルリン東洋美術館(第二次世界大戦以降所在不明)







(以上の10体に加えてエルミタージュ美術館にも1体所蔵されているとの由(画像未見)。露国の美術館には第二次世界大戦の戦利品としてドイツから運ばれた文化財が今なお多数収蔵されているので、もしかすると⑩のことか?)


これだけの傑作でありながら孤立した作品群であるために制作の背景などは殆ど不明。。

一方では唐三彩に始まる多色釉陶俑の一つの到達点という
陶磁器としての側面と
もう一方では9世紀頃から広まった羅漢信仰に基づく最初期の羅漢像という
仏教美術としての側面の両面があるわけですが、
晩唐~北宋初期というのは、どちらの面からも分からないことが多いやっかいな時代。。
(7-8世紀の唐三彩なら、或いは12世紀以降の羅漢像なら多少は分かるんですけどね)

清朝崩壊直後に河北省の洞窟から運び出されたと伝えられていましたが、
なんと阿南・ヴァージニア・史代氏が実際にその洞窟を突き止めて訪ねていますd(-_☆) グッジョブ!!

http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2009-11/09/content_228982.htm


(まとまんないけど続くよ!)
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# by brevgarydavis | 2012-11-25 23:13