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ついに曜変天目、中国で発見!!美術史の小窓 その3

その筋の人には今年2月、中国深圳博物館でのシンポジウムで公表された時から
話題になっていたようですが、
アンテナの感度が低くて『陶説』の11月号を見て仰天した次第...

そう、現存するのは世界でも日本に伝わる3碗のみと長いこと喧伝されてきた曜変天目茶碗が
とうとう 中国でも出土 したとのことです!!
発見されたのは杭州の南宋皇城北門跡地付近とのこと。。窯跡ではなく消費地での発見。

すでに専修大学や大阪市立東洋陶磁美術館で水上和則氏や小林仁氏による講演も行われました。。

曜変天目といえば唐物茶碗の最高峰として
『君台観左右帳記』にも「曜変。建盞の内の無上也。天下におほからぬ物なり。萬匹のものにてそろ」
と記述されているお宝中のお宝。
静嘉堂文庫美術館、藤田美術館、大徳寺龍光院にある3碗全てが国宝に指定されています。

侘茶全盛の時代にはちょっと流行から外れたような時期もありましたが、
大正7年の売立にいわゆる稲葉天目(静嘉堂文庫美術館のモノ)が登場して以来、、
再び最も高名な茶道具の一つとなりました。。
(なぜかNHKとか好きですよねーキラキラしてテレビ映りが好いからかな~)

その曜変天目最大のナゾの一つが、なぜ日本にしか伝来しなかったのかということ。
それがこのたび、大破しているとはいえ
稲葉天目に勝るとも劣らない見事な耀変を示す一例が皇城付近で見つかったことによって
南宋の宮廷でも確かにこの茶碗の輝きは歎賞されていたのだということが分りました。

それがなぜ他の南宋文物のようには伝世することがなかったんでしょうか?
残すべきものと見做されなかったのか、あるいは稀少すぎて残らなかったのか、
それならなんで日本には3碗もあるのか?
日本に将来されたのは南宋滅亡前なのか後なのか(まぁ普通に考えれば後だろうな~)、
他の南宋官窯の青磁や宮廷絵画の優品の将来と同時期・同ルートと考えてよいのかどうか?
等々...謎は深まるばかりです!!

今回の出土品の画像は載せられませんが、稲葉天目の画像だけでもUploadしておきますよ。
ついに曜変天目、中国で発見!!美術史の小窓 その3_b0283699_21473050.jpg

(「曜変天目 発見 中国」 で画像検索すると見られるかも?)  
残念ながら、もう削除されたみたいですね(2013年1月6日現在)。。

by brevgarydavis | 2012-11-16 21:53